上海旅行記 with HVF  byタカギタカシ

3月17日(金ようび)


 またビュッフェ形式の朝御飯を食べて、今日もまた上海の街を観光します!
 本日最初の行き先は上海科技館。肖君と合流して、出発です。



 僕の感想としては、上海科技館は、大阪市立科学館のでかいバージョン。ただ、これも上海スケールなので、でかい球体の挟まった超未来デザインなうえに、中身も化石から人体・ロボットとどれも非常に充実していて面白い。有人宇宙飛行をやったこともあって、ロケットのコーナーなんかも結構力が入ってた。
 でもね、僕が阪大生だから思うのかもしれないけど・・・、土星型原子模型の提案者にラザフォードしか入ってないのはねえ・・・。長岡半太郎も入れてあげようよ。


 ここで僕は、科技館の展示内容とはまったく無関係だけど、コーラを買ってみることに挑戦したのだ。自動販売機やコンビニでなくて、売店で買ってみよう、って。
 中国語でコーラは「可楽」と書く。例の中国語の本には「クーラー」というふうに発音が書いてあったので、売店まで行って、そう言ってみる。
 ・・・ペットボトルの水を出された。
 違う、違うんだ、ということで、指を差しながら何度も「クーラー」と言ってみた。そして、やっとコーラが出てくる。「トゥオシャオチェン(いくら?)」と訊くと、これは通じたみたい。4元らしい。お金を払って飲む。
 ぬるい。中国人はホットコーラも飲むときいてたけど、絶対に冷やさなきゃいけないって感覚がないのはそのせいなのかも。
 そのあと、肖君にコーラの正しい発音を訊くと、僕の耳には「クールー」に聞こえるのだった。よし、今度は「クールー」で注文してみよう。


 そういえばこの日、まえに人民元に換えておいた分が少なくなってきた、ということでまた銀行に行ったんだけど、言語の練習ということで、今回は僕が代表して交換してきました。
 さすがに、中国語では無理なので、英語を使ったけどね。
 日本のお金を人民元に換えたいんですけど、と壊れ果てた英語で言うと、書類を出してもらった。やった、これに書けば任務完了だ! そう思った。だけど・・・。
 フォームはすべて中国語でした。
 こちとら中国語わかんねーから英語で訊いてんだよ!
「すいません、中国語わからないんですが・・・」
 そう英語で言うと、ここは名前、ここがパスポート番号、ここが金額・・・、と教えてくれた。それでなんとかなる。電話番号を書いて、って言われた部分には、ホテルの? と訊くと、困ったような顔をして、もう良いから、という風に書類を持っていった。日本円を人民元に換えてもらうことに成功。
 にしても、銀行に来て「チェンジ、チェンジ」って言ってる妙なこの外人にたいして、ちゃんとお金換えてくれるんだな、と感心した。


 上海科技館に行ったあと、僕らは、お昼ご飯を黔雅膳というお店で食べた。
 中国へ来てからずっと、昼と夜は中国料理を食べ続けているけど、今日もそう。
 この店は商品のサンプルを指差しながら注文が出来るので、とても便利だった。
 ・・・というのか、上海語で喋る肖君の言葉が店の人に通じない部分があったという話だから、この店の人にしても、こういう注文形態は助かるのかもしれない。
 メンバーは「うまい」を連発して食べてたけど、このころ僕にはきつくなっていた。
 のどが激烈に痛いのだ。
 上海は光化学スモッグのせいなのか、常に視界が悪かったけど、それで僕の弱いのどが無事なわけがない。「上海人は道端で痰を吐いてマナーが悪い」という評価をされているけど、それは必要に迫られてのことなんじゃないかと思う。イトックスも同じことを言っていた。彼ものどが痛いらしい。僕にのど飴を分けてくれた。ありがとう。


 そして、リニアモーターカーに乗ります。こっちでは「リニア」っていい方をするんじゃなくて、”Maglev(マグレヴ)” っていうらしいんだけど。
 時速430キロメートルが出るという、「実用化した」リニアモーターカーなんだけど、実際は地下鉄乗り換えの必要があって結構不便。
 このリニアモーターカーに乗って、飛行機に乗るわけでもないのに浦東空港まで行って、コンビニで買い物をしてからまた帰ってきました。乗ること自体が目的だからね。


 それからまた、4度目の南京東路デパート街。
 途中で隊長が行方不明になるけど、夕食まで自由行動ということで、僕はこの電飾の夜の都会をぶらりと本屋を探して歩いたのでした。
 何度見ても、この街の人は良い服を、おしゃれな服を着ている。カップルがいちゃつきすぎてたり、車が平気で人混みの中を突っ切っていくのを別にすれば、ここは日本の都会のように見える。建物がSFすぎるのも、日本とは別だったけど。
 ここに来る人はお金があるんだなあと思う。ここの物価は殆ど日本と同じだもの。ここに売っている服や宝石といった「贅沢品」の価格は、普通に僕にしたって高いのだから。
 本屋が無いなあ・・・、とうろうろ歩き廻ってようやく見つけた店で、真っ直ぐに向かったのは漫画コーナー。やっぱり、殆どは日本の漫画の中国語訳だった。でも、ここでは何も買わなかった。話のネタにと、漫画はすでにコンビニで買ってあるから。
 そこですごく気になったのは、日本の漫画じゃなくて、中国の漫画である『漫画日本の歴史』。侍が上半身裸のデブだったり、頭悪そうな顔で描かれてたり・・・、結構酷いもんだ。極めつけは、「日本は中国や朝鮮などの文化の影響を受けているにも拘らず、それらを日本の文化であると喧伝しているのです」というくだり。確かに、日本は中国の影響を良く受けてるけど、それに全く手を加えないで、しかもその由緒を隠して、自国の文化であると言ったことはないと思うんだけど・・・。日本人は自国の文化を、よその国からもらったものを適当に作り変えて日本風にした文化、だと思っているはず。


 そういえば、いろいろなところに反日プロパガンダがあったように思う。この漫画もそうだし、上海博物館には売店に洋書の『レイプ・オブ・ナンキン』が置いてあったし、獅子林でも「抗日戦争の拠点」という立て札を見たし・・・。
 でも、中国の人は本当に日本が嫌いなんだろうか? 日本の漫画も売れてるようだし、日本人作家の小説も本屋にあったし、漫画の品揃えが悪い割には、普通の小説の表紙が漫画絵だったり、極め付けには、コンビニで売ってるパンの袋にセーラームーンみたいな絵が描いてあったりするし。
 先にも述べたように、日本製の食品なんかには、日本での日本語の商品名がでかでかと書いてあったりする。南京東路には吉野家もあるし、寿司屋もある。「日本味千ラーメン」なんて、思い切り「日本」だし、カタカナ表記だ。でもこの店はすごく大きい。儲かってるんだろうと思う。日本が嫌いなら、そもそもこんな店名はありえない。
 上海科技館では、ガンダムキャラのコスプレをした女の子たちが科技館を背景に写真を撮ってました。科技館がSFっぽい建物だからだろうけど(科技館に失礼じゃないか、と日本人の僕が思う)、こんなに日本のアニメに熱を上げてる人もいるわけだし(まさか日本人じゃないよね?)。
 僕は餃子チェーンや銀行などに登場した「妙な外人」なわけなんだけど、運が良かったのか、僕に対応してくれたひとはみんな優しかった。中国人は日本人を嫌っている、なんてわけじゃないと思う。中国のデモが官製デモって言われるのには納得がいく。
 ただ、僕が日本語を使わなかったから、日本人だとは思わなかったから良くしてくれた、なんてことじゃないと思いたい・・・。


 集合時間まで時間があるので、僕は南京東路をぶらぶら散策し続けた。
 と、途中で、トントンと腕を叩かれる。ちらと見たけど、知らない人だった。こうやって物を売りに来る人は多い。だから僕は無視して歩き続けた・・・。
 だけど、歩きながら状況を思い出すと、僕に呼びかけたのは女の子ふたりだった。何か傍のデパートの建物を指差していた気がする。僕を現地民だと思って何か訊いてたのかな。それだったら悪いことしたな、と反省する。
 よし、次にそういう人に会ったら、ちゃんと応対してみよう。
 次なんてあるはずがないんだけど・・・。普通は。
 だけど、それでもまだ時間が余っていた僕は、1周した南京東路をもう1周してみることにした。ひとりで夜の街をぶらぶらしていると、またトントンと呼び止められたのだ。
 見ると、さっきとは違うけど、また女の子ふたりだ。15、16歳くらいの。
 よし、腹をくくれ。話を聞くぞ。
 ・・・しかし、案の定、中国語はさっぱりわからない。そんなに早口で言われたって、リスニングできませんよ。
「あー、悪いんだけど」僕は試しに、英語で言ってみる。「僕は君たちが何を言ってるのか理解できないんだけど」
 それでも中国語で話される。まいったな・・・、と思いつつも、今度は別の表現で「中国語がわからないんだけど」というと、今度はわかったらしく・・・。
 彼女らの片方が英語で喋りだした。
 おお! と喜んで耳を傾ける。でも、なかなか聞き取れない。どうやら部分的に中国語らしい。「ハングーリー」? 何言ってるんだ? 僕がわからないという顔をすると、彼女らは何度も繰り返す。「ハングーリー」の意味が取れたのは、暫くあとになってからだ。
「私たちは○○(地名・聞き取れず)から来たんですけど、あなたは?」
「えーと、大阪です」
「オーサケ?」
 やっぱり知らないらしい。しょうがないけど。僕だって彼女らがどこ出身かわからなかったし。それから彼女は近くのデパートを指差してこう僕に言った。
「私たちは遠くから来たんですけど、お金がなくなってしまって困ってるんです。とてもお腹が空いている(ハングーリー)のです。あそこにケンタッキー(ケントージー)があるので、お金をください」
 なんだ、ものごいだったのかよッ!
 そうとわかれば、もうこれ以上付き合ってやる理由なんて無くて。
「悪いんだけど、僕には助けてやれないよ。他の人をあたって」
 これでやっと彼女らは別のところに行ってくれた。だけど、どうやらものごいネットワークはお互いの顔を知っているらしくて、このあと、金くれと喚くばあさんに多少追い回されることになってしまった。カモだと思われたらしい。無視したけど。
 それにしても、ものごいと英語で話すことになろうとは・・・。


 上海中心街からちょっと行ったところに貧民街があるって話はもうしたけど、やっぱりこの中国では貧富格差がひどいらしい。
 「金をくれ」と言ってくる人は、これまでにもかなりいた。一昨日、豫園で勘定奉行に金を要求した爺さんもそうだけど・・・、ちょっとリストにしてみる。
・ 上海駅でベンチに座ってたら、赤ん坊を抱えた女の人が僕の前に膝を付いて
  金をくれと小銭の載った手を差し出してきた。
・ 松葉杖を肩にかけたまま街中で座り込んでいる男。小銭入れはちゃんと置いてある。
  松葉杖のような「障害者グッズ」は、哀れさを煽るための小道具ではないかと思う。
  ひどい話だけど。
・ 軒先にじっと座っている脳障害(?)の男。小銭入れつき。
・ 北寺塔で、松葉杖の爺さんが喚きながら小銭入れを突き出してきた。
・ 陸橋の上に、小銭入れを持ったまま倒れてる爺さん。
・ 駅の乗り換え通路の真ん中で、無くした片足を見せびらかすようにズボンを捲り上げ
  て倒れている中年男。募金箱つき。
・ 駅の階段で二胡を引く男。募金箱つき。
 こういうことを、時系列にそって逐一書いてたんじゃ、かなりくどくなるのはわかってもらえると思う。だから僕は、ここにまとめて書いておいた。
 上海の発展ぶりは、素直にすごいものだと思う。こんな大都会は、正直なところ、大阪にはないし、やろうとしたって無理だ。こんなに高いビルは建てないし(地震大国なせいもあるけど)、ビル街をこんなに広く造れない(土地がない。立ち退きさせられない)。
 だから、ここは大都会だ。ビルの街、電飾の街だ。見上げると、見たこともないくらい綺麗で不思議な形をした建物に自分が囲まれているのがわかる。
 でも。
 この街の地面のタイルは、造るときにいい加減な工事をしたのか、大きさが足りなくて、隣のタイルとの間に穴をつくっている列があった。そこから、このタイルの下が空洞なんだなってことがわかる。急激な近代化の代償に生じた歪みに、見える。
 みんな集合時間になって合流した。行方不明になっていた隊長も戻ってきて、よかったねと談笑していたら、そこに老夫婦が寄ってきて、小銭を要求した。本当にここには多い。こんな大都会の中心なのに。


 そのあと、晩御飯。
 南京東路から少し外れたところにある楚楚園という食堂で、中国に来てから初めての麺料理をいただきました。
 相変わらず、のどが痛すぎて料理の味がわからない。もったいない。
 美味しいはずなのに・・・。メンバーは「うまいうまい」って食べてるのに・・・。
 と、ここでも中国語に挑戦! ということで、僕がでしゃばってお会計を頼みました。これまで肖君がやっていたのを憶えていたので、何を言えばいいのかはわかってたわけでして。
「シャオジェ、マイタン(おねえさん、お勘定)」
 おお、ちゃんと通じた。ただ、伝票の金額が僕には読めなかったのが残念。や、普通に荒い文字だったから。ちゃんとアラビア数字だったんだけどな。


 そのあともう一度南京東路に寄って、お土産のお菓子を買い込む。
 メンバーがコンビニに行っている間に、近くにあった土産食品店に単独(勝手にともいう)飛び込んで、売り台の向こうのおばさんに、お菓子を指差しながら訊いてみる。
「ハオ・ツィー・マ(美味しいの?)」
 返ってきた返事は、当然ながら「ハオ・ツィー(美味しいよ)」だ。それからおばさんは、とうとうとそのお菓子の美味しさを述べるんだけど、全く意味がわからない。だけど、僕はそれを聞きながら、うんうんと頷いてみせる。それから僕は、「じゃあこれとこれ」。
 まるで話が通じているようじゃないか!
 しかし、僕はケチなので、一番安いのしか買わなかった。そのあとで肖君に「こんなの買ったんだけど」ってそれらを見せると、「それは不味かったような」と言われた・・・。一体どんな中身なのやら・・・。


 そしてそれから、地下鉄に乗ってホテルに戻る。いよいよ明日は中国観光最終日。どんな風に締めくくれるのか?



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